パンツの妖精

“パンツの妖精にパンツ盗まれちゃった”

 午前零時を過ぎた頃、僕のスマホに彼女からのメッセージが届いた。

「パンツの妖精?」

 思わず零れた独り言。続け様にポンと通知音が鳴った後、今度は仮装をしたハロの画像が送られてきた。
 はは、妖精か。ん?何か咥えているな。画像をタップしてハロの口元を拡大する。

「っ、おいおい……」

 見覚えのあり過ぎるレースの小さな布切れに、僕が片手で顔を覆ったのと同時にもう一度ポン!とスマホが音を立てた。ハロが着ているコスチュームと同じ色のチュールスカートから伸びる艶かしい太股に、あざとくもぎゅっと寄せられた柔らかそうな二つの膨らみ。自分で撮ったのか、首から下だけの絶妙な角度で背景には僕の枕も写っている。……ベッドの上で待っているということか。

“今度はブラも盗られちゃうかも!早く帰ってきてね♡”

「随分なお誘いだな」
「え?降谷さん、何かおっしゃいましたか?」
「いや、独り言だよ……悪い、風見。急用が出来た。僕はもう帰るけど、君もキリをつけて帰れよ?」
「はい、自分もこの入力が終わったら帰ります」
「そうか。お先に」
「お疲れ様です」

 ったく、ハロウィンはとっくに終わっているだろう。本当に我儘な妖精だな。そう思いながらもハンドルを握る僕の顔には笑顔が浮かんでいたのだった──。